【インタビュー】ユーザー視点での設計とは:「オーディオ消しゴム」に込められた最先端研究の舞台裏

2025/04/17
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※サムスン電子(韓国本社)配信のコンテンツを翻訳した内容です。

 

路上パフォーマンスを撮影したのに車のクラクションが音楽をかき消してしまったり、カフェでのVlog撮影中に周囲の雑音で会話がほとんど聞こえなくなってしまった経験はありませんか?

 

Samsung Galaxy S25シリーズに搭載された「オーディオ消しゴム」は、こうしたシーンでの不要なノイズを低減し、必要な音だけを際立たせることで、より臨場感のある動画を作成できるように設計されました。※1 この「オーディオ消しゴム」をはじめとするGalaxy AIの機能は、ユーザーのニーズを深く理解したうえで開発されたものであり、Samsung Researchとサムスン電子(韓国本社、以下 Samsung)の MX (Mobile eXperience)事業部による先進的な研究開発の成果です。

 

Samsung Newsroomでは、Samsung ResearchAIソリューションチームに所属する音響技術の専門家に、この革新的な機能の開発背景について話を聞きました。

 

左から)Samsung Research AIソリューションチームのKyoungbo Min氏、Hejung Yang氏、Hosang Sung氏、Jiwon Kim氏

 

音の“出どころ”を見極める次世代オーディオ技術の未来へ

「オーディオ消しゴム」は、動画内の音を自在にコントロールできる機能で、不要なノイズを取り除き、強調したい音を際立たせることができます。この機能は動画をすばやくスキャンし、音をカテゴリー別に識別・分離することが可能です。さらに、ユーザー自身が撮影した動画だけでなく、共有された動画にも適用できます。

かつて「AI 消しゴム(旧:オブジェクト消去)」がSamsung Galaxy S21シリーズで登場し、写真編集の自由度と使いやすさを大きく向上させたように、「オーディオ消しゴム」は音声と映像の両面で、より高度でシームレスなマルチメディア体験を実現するために開発されました。

 

▲オーディオ消しゴムで、ビデオ内のサウンドをカテゴリー別に調整している様子

 

音源検出と分離モデルの開発

「オーディオ消しゴム」は、音声、音楽、風、自然、人込み、ノイズの6種類の音を識別します。動画内にどんな音が、どこで鳴っているのかをすばやく認識したうえで、音源分離技術を活用し、それぞれの音をカテゴリーに分けて処理します。

 

こうした音声タイプを正確に検出・分離できるAIモデルを構築するため、研究チームはまず豊富な学習データの収集から着手しました。さまざまなシナリオを再現して多様な音声データを生成するほか、実際に街に出て日常の音を録音することもありました。

 

Samsung Research AIソリューションチームのHejung Yang氏は「中でも風の音の扱いには苦労しました。風音のシミュレーション技術を改良するだけでなく、実際に強風が吹いたタイミングを逃さないように、業務後や週末にも屋外で録音を行うなど、実録データの強化にも力を入れました。」と、語りました。

 

さらにチームは、音源分離モデルの性能向上にも多くの時間を投じ、無数の動画を何度も精査しながら開発を進めました。

「開発者一人ひとりが、毎週1,000件を超える音声サンプルを、さまざまな条件下で比較・分析しました。継続的な検証を通じて、安定して高品質な出力を実現できる最適な音源分離モデルを見極めていきました。」と、Jiwon Kim氏は語りました。

 

▲「オーディオ消しゴム」の実現に向けて、Samsungの研究者たちが最先端の音響技術開発に取り組む様子

 

ユーザーのための、新しい音の体験を

「オーディオ消しゴム」は、端末内で処理が完結するオンデバイスAIを採用しており、リアルタイムでの編集やプライバシー保護といった、ユーザーの使いやすさを実現しています。この機能の開発を支えたのは、Samsungが長年培ってきたオンデバイスAIの高い技術力です。

 

「私たちは、端末上で高速に処理できるAIモデルとアルゴリズムの開発に注力してきました。低消費電力かつスムーズに動作する最適なAIソリューションを実現するために、数多くの工夫を重ねてきました。」と、Samsung ResearchHosang Sung氏は語ります。

 

Samsung Researchでは、強固なAI研究基盤をもとに、先進的な音響技術のさらなる進化にも力を入れています。

 

Samsung Research AIソリューションチームの責任者であるHoonyoung Cho副社長は、「私たちは、モバイル体験をより快適に、使いやすくする次世代ソリューションの開発に取り組んでいます。音声コントロールや音質強化技術を通じて、よりパーソナルで自由度の高いリスニング体験を届けたいと考えています。」と語りました。

 

 

製品開発チームとの連携が生んだ、実用レベルの技術進化

先端技術を消費者向けの機能として実装するには、さまざまな課題が立ちはだかります。たとえば、映像と音声を同時に編集する際には、スムーズで途切れのない再生が求められます。また、1時間を超える動画を処理するには、その長さに対応できる専用技術も必要です。

 

これらの課題に対応するため、Samsung ResearchとMX事業部は、ユーザー視点でのアイデアの提案から、ソフトウェアの最適化と音質評価に至るまで、密に連携しながら開発を進めました。最適なソリューションを導くために、あらゆるアプローチを検討し、検証を重ねたのです。

 

こうした部門横断型の取り組みは、Galaxy Buds3 シリーズ(Buds3Buds3 Pro)の開発においても成果を上げています。音楽や映像の視聴、通話まで、騒がしい環境下でも快適に音を聴きたいというニーズの高まりを受け、ワイヤレスイヤホンにおける「アクティブノイズキャンセリング(ANC)」は、今や欠かせない機能です。Samsungは独自の「Adaptive ANC」技術を開発し、装着状態や長時間の使用によるフィット感の変化に応じて、ノイズキャンセリング性能を最適化できるようにしました。

 

イヤホンは耳に直接装着するデバイスのため、ハードウェアとソフトウェアの密接な連携が不可欠です。製品仕様の最終調整やANCの精度向上においても、両部門の連携が大きな力を発揮しました。

「私たちは、さまざまなハードウェア環境に対応できるよう、複数のアルゴリズムを事前に開発しておきました。あらゆるチップセットやデバイスに迅速に対応できるよう、膨大なシミュレーションを通じて柔軟なソリューションを準備しました。開発段階では何度も改良と検証を重ねましたが、研究部門と製品チームの密な連携が、製品化までのスピードを加速させる原動力となりました。」と、Samsung ResearchMin Kyoungbo氏は語ります。

 

 

音声分離は、次世代の音響技術における中核的な分野であり、Samsungは着実にこの分野における技術革新を進めています。「オーディオ消しゴム」はこの音声分離技術をフルに活用し、今後はさらに幅広い応用展開が期待されています。進化を続けるGalaxy AIとともに、より直感的で実用性の高い機能が、今後もユーザーに届けられていくでしょう。

 

 

※1映像に存在する音によって結果が変わる可能性があります。Samsungアカウントのログインが必要です。音声、音楽、風、自然、人込み、ノイズの6種類の音を検出できます。音源や動画の状態によって、実際の音声検出が異なる場合があります。音声、音楽、風、自然、人込み、ノイズの6種類の音を検出できます。音源や動画の状態によって、実際の音声検出が異なる場合があります。

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