【インタビュー】最新Samsung Galaxy Zシリーズを支える ハードウェア開発の舞台裏
※使用できる機能は国・地域・OSバージョン、デバイスのモデルなどによって異なります。
サムスン電子(韓国本社、以下Samsung)は、7世代にわたり、ディスプレイ技術、ヒンジ設計、そして素材技術における革新を積み重ねることで、折りたたみスマートフォン市場を牽引してきました。その原動力となっているのは、ユーザーがデバイスをどのように使うかを深く理解し、そのインサイトを製品開発に反映してきたことです。Samsung Newsroomでは、サムスン電子副社長 兼 MX(Mobile eXperience)事業本部Mobile R&D Office Hardware担当のSunghoon Moonに、最新のSamsung Galaxy Zシリーズの開発に込めた思想や技術について話を聞きました。

Sunghoon Moon
Q. 7世代にわたるユーザーインサイトは、最新のSamsung Galaxy Zシリーズの開発にどのような影響を与えましたか?
折りたたみスマートフォンは単に新しいフォームファクターではなく、ユーザーとスマートフォンとの関わり方そのものを変える可能性を持つデバイスだと、私たちは当初から考えていました。この7世代にわたる開発の中で、ユーザーがどのようにデバイスを開き、持ち運び、折りたたみ、そして日常生活の中で活用しているのかを継続的に学んできました。このように得られた知見は、私たちのエンジニアリングにおける優先事項を形づくり、Samsung Galaxy Zシリーズの進化を支える重要な指針となっています。
その結果、ユーザーが求める価値として、次の3つが明確になりました。
「より大きく、没入感のあるディスプレイ」
「優れた耐久性を維持しながら、さらに薄く・軽いデザイン」
「折りたたみならではの価値を損なうことなく実現するフラッグシップレベルの高性能」
この3つを高い次元で共存させることが最新のSamsung Galaxy Zシリーズの開発における最大の技術課題でした。
Q.Samsungは、折りたたみスマートフォンの革新を「一つの統合されたシステムを設計すること」と表現しています。これは具体的にどのような意味でしょうか。
折りたたみスマートフォンは、すべての部品が密接に連携しています。例えば、デバイスをより薄くしようとすると、ディスプレイだけでなく、ヒンジ、バッテリー、放熱システム、さらには内部構造にわたり、すべてを一体として見直す必要があります。私たちは個々の部品を個別に最適化するのではなく、デバイス全体を「一つの統合されたシステム」として設計しています。このエンジニアリングの考え方は、素材や部品設計から製造、品質検証、そして最終的な製品体験に至るまで、一貫しています。
このような包括的な開発アプローチによって、技術的な進化をユーザーが毎日実感できる使いやすさや価値へとつなげています。

▲ 「一つの統合されたシステム」として設計することで、ユーザー体験の向上と進化を実現
Q.新しいSamsung Galaxy Zシリーズでは、「Flex Titanium」技術を採用しています。この技術は、どのような技術的課題を解決したのでしょうか。
Samsungが目指したのは、耐久性やディスプレイの視認性を損なうことなく、折りたたみスマートフォンをさらに薄く、軽くすることでした。その実現には、超薄型OLEDパネルを支えるディスプレイ支持構造を根本から見直すと同時に、繰り返し折りたたんでも性能を維持できる柔軟性を確保することが重要な課題でした。
そこで着目したのがチタンです。航空宇宙分野をはじめ、高い強度や耐久性が求められる分野で使用されているチタンは、折りたたみディスプレイに必要な強度と耐変形性を備えています。しかし、素材を選定することが目的ではなく、目指したのはチタンを繰り返し折りたたむ用途に適した素材として活用するための加工技術や構造設計、さらには製造技術を確立することでした。

▲ Flex Titanium技術は、ディスプレイの薄型化と耐久性の向上を両立するとともに、折り目の視認性低減にも貢献
Flex Titaniumは、2種類のチタンベース素材を組み合わせた独自の構造です。ディスプレイ下部に配置されたチタンプレートは、デバイスの前面・背面から加わる圧力や衝撃を吸収する主要な支持構造として機能します。また、独自のハイブリッド製造プロセスによって形成された高精度な格子構造(ラティス構造)を採用することで、構造的な強度を維持しながら、折りたたみに必要な柔軟性も実現しました。
さらに、ディスプレイパネル下部には、チタン合金フィルムを配置しています。厚さは数十マイクロメートルと人の髪の毛のおよそ1/3程度という極めて薄い素材でありながら、日常的な開閉を繰り返しても十分な強度、柔軟性、そして弾性回復性能を発揮します。

▲ Flex Titaniumは、極薄のチタン合金フィルムと高精度なチタンプレートを組み合わせた独自構造を採用
これらの技術革新により、ディスプレイ支持構造の強度を高めながらディスプレイモジュールの厚さを約10%削減することに成功しました。その結果、確保できた内部スペースをバッテリーや放熱システム、カメラの搭載に活用できるようになり、より薄く、軽量かつフラットなディスプレイと折り目が目立ちにくいデザインを実現しました。これらの進化は、「Samsung Galaxy Z Fold8 Ultra」の約4.1mmという薄さ、そして「Samsung Galaxy Z Fold8」の約201gという軽量設計を支える重要な技術となっています。
Q.最新のSamsung Galaxy Zシリーズでは、バッテリーシステムをどのように進化させたのでしょうか。
ユーザーは、より長いバッテリーの持続や急速充電、そしてより薄型で安全、信頼して長期的に使用できる折りたたみスマートフォンを求めています。このような期待に応えるため、私たちは単にバッテリー容量を増やすだけではなく、バッテリーシステム全体を一から見直しました。
エネルギー密度の向上を目指しシリコンカーボン負極を採用しましたが、今回の進化は負極材料だけにとどまりません。シリコンカーボン材料は高い性能を持つ一方で反応性も高いため、高電圧環境下でも長期間にわたって安定した性能を維持できるよう、バッテリーシステム全体を最適化しました。さらに、ディスプレイ構造の改良によって内部スペースを確保できたことで、よりスリムなデザインを維持しながら、バッテリーシステムそのものを再設計することが可能になり、「Samsung Galaxy Z Fold8 Ultra」には5,000mAhの大容量バッテリーの搭載が実現しました。
充電システムについても、同じ設計思想に基づいて開発を進めています。シリーズ全体に共通の仕様を採用するのではなく、それぞれのフォームファクターに最適化した充電アーキテクチャーを設計しています。
「Samsung Galaxy Z Fold8 Ultra」と「Samsung Galaxy Z Fold8」には、デュアルセル充電アーキテクチャーを採用しました。バッテリーへの電力供給を2つの経路に分散することで電気的な負荷を低減し、放熱性能を高めながら、より高速かつ安定した充電を実現しています。これにより、45Wの急速充電に対応でき、「Samsung Galaxy Z Fold8 Ultra」は、約30分で最大67%まで充電することが可能です。
一方、「Samsung Galaxy Z Flip8」には、コンパクトな筐体ならではのスペースや熱設計を考慮した専用の充電アーキテクチャーを採用し、Flipのフォームファクターに最適な充電性能を実現しています。
Q.折りたたみスマートフォンを長期間安心して使えるようにするため、Samsungでは製品化の前にどのような耐久性試験を行っていますか。
私たちは、耐久性とは単に設計だけで語れるものではなく、徹底した検証によって証明されるものだと考えています。そのため、実際の使用環境を想定した条件のもとで、折りたたみスマートフォン全体の耐久性を徹底的に検証しています。
最新のSamsung Galaxy Zシリーズでは、落下、繰り返しの開閉、加圧、湿気、異物の混入など、日常使用で想定されるさまざまな環境を再現した100項目以上の信頼性評価試験を実施しました。こうした検証を通じて、実際の使用環境におけるデバイス全体の性能を確認するとともに、市場投入前に潜在的な課題を洗い出し、ユーザーが安心して長く使える折りたたみスマートフォンを提供することを目指しています。
Q.開発プロセス全体を振り返って、Samsung Galaxy Zシリーズを支えるSamsungの開発思想をどのように表現しますか。
私たちのものづくりは、常にユーザーの声から始まります。
Samsung Galaxy Zシリーズでは、7世代にわたり、ユーザーから得たインサイトをもとに、素材や部品、そして製品体験そのもののイノベーションへとつなげてきました。このユーザー起点の開発思想は、現在もSamsung Galaxy Zシリーズの開発の根幹にあります。
より薄く、より高い耐久性を備え、より高性能で、より直感的に使える折りたたみスマートフォンを実現するために、これからもユーザーの声に耳を傾けながら進化を続けていきます。

▲ 7世代にわたり培ってきたユーザーインサイトが生み出す、Samsung Galaxy Zシリーズの進化
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