【インタビュー】何気ない瞬間を映画のように
※使用できる機能は国・地域・OSバージョン、デバイスのモデルなどによって異なります。
近年の映像表現に関するトレンドは高解像度化にとどまらず、 “雰囲気”や“感情”を伝えるストーリーテリングへと移行しています。この流れを受け、サムスン電子(韓国本社、以下Samsung)は最新AIフォン「Samsung Galaxy S26 Ultra」に新しい動画コーデック「Advanced Professional Video(APV)」を初搭載しました。このAPVコーデックは高画質を維持しながら、編集時の劣化を最小限に抑えることで、スマートフォンにおける映像制作の新たな基盤を築きました。
さらに、「Samsung Galaxyスマートフォン1台で誰でもハリウッド映画のような映像を制作できないかか?」というシンプルな問いの答えとして誕生したのが「Samsung Galaxy S26シリーズ」に搭載された「Cinematic Look-Up Table(Cine LUT)」機能です。APVコーデックが映画レベルの品質を支える土台だとすれば、Cine LUTは映像に独自のカラー表現や世界観を与える役割を担います。
これまで専門家の領域だったプロレベルのカラーグレーディングを、誰でも手軽に扱えるようにしたのがCine LUTの特徴です。Samsungはこの機能の実現に向け、社内外の専門チームと連携しました。MX(モバイルエクスペリエンス)事業本部が最終的なカメラ実装を担当し、Samsung Researchが映像処理のコア技術を開発、また世界的な映像作品のカラーグレーディングを手掛けるカラーリストスタジオ「U5K Imageworks」が映像美の表現設計に携わりました。
今回は、高画質な映像を可能にするAPVコーデックの発表に伴い、Cine LUTの開発を支えた3人へインタビューを実施しました。MX事業本部カメラ画質研究開発グループのSugon Baek(以下、Baek)、Samsung ResearchリアリティーメディアラボのBomi Kim(以下、Kim)、そしてU5K Imageworks CEO Taesik Eom氏(以下、Eom氏)に、開発背景やこだわりについて語ってもらいました。
▲(左から)U5K Imageworks CEO Taesik Eom氏、Samsung ResearchリアリティーメディアラボBomi Kim、MX事業本部カメラ画質研究開発グループSugon Baek
Q.LUTとは何ですか?また、「Samsung Galaxy S26シリーズ」のCine LUTの特徴は何ですか?
Baek:LUTとは、簡単に言えば「映像のカラーを、狙った雰囲気へ変換するためのマップ」のようなものです。一般的なフィルターは単純にカラーを重ねるのに対し、Cine LUTはLog※1動画をもとに再構築することで、映画のような奥深い映像表現を実現します。
Kim:Cine LUTは、Log動画向けに最適化されている点が特徴です。Log動画が持つ広いグラデーション表現※2を活用し、カラーや明るさを精密に再構成することで、従来のフィルターでは失われがちな繊細なトーンのディテールまで保持し、より自然で豊かな奥深い映像表現を可能にしています。
※1 暗部のディテールをより豊かに記録するため、対数曲線(Logカーブ)を用いて映像情報を記録する技術。カメラセンサーは光の明るさを均一に捉える一方で、人間の目は特に暗部の変化に敏感とされており、Log撮影ではその人間の視覚特性に近い自然な映像表現を可能にします。
※2 映像内における明暗の移り変わりの滑らかさや精細さを指し、明るい部分から暗い部分へのグラデーション変化をどれだけ自然かつ繊細に表現できるかを示しています。
Q. Cine LUTはどのような背景から開発されたのでしょうか?
Kim:Samsung Galaxyデバイスではこれまでも高品質な撮影を可能にするLog動画に対応していましたが、一般ユーザーにとってカラーグレーディングはかなりハードルの高い作業でした。そこで私たちは専門的な編集技術がなくても、プロレベルの映像表現をお楽しみいただける体験を実現したいと考えました。
Baek:撮影した瞬間に映画のような映像表現をプレビューでき、撮影後はギャラリー上でLUTを適用して、ワンタップでそのまま共有できる――そんなシームレスな体験を目指して開発を進めました。

▲(左から)Samsung ResearchリアリティーメディアラボBomi Kim、MX事業本部カメラ画質研究開発グループSugon Baek
Q. U5K Imageworksとの協業はどのように始まったのでしょうか?また、Cine LUTはどのように開発されましたか?
Eom氏:Samsungとの協業は、2年前のLog動画向け「Rec.709 LUT」のアドバイザリー業務から始まりました。当時は、強すぎるカラー表現をより自然なトーンへ調整する作業を行っており、その経験がCine LUT開発へとつながっています。今回のプロジェクトでは、「Neutral」「Soft」「Strong」という3段階の強度で複数のバージョンを制作し、さまざまなシーンでテストを実施し、最終的に4つのコアスタイルを選定しました。
Kim:U5Kが提案したカラー表現の方向性をベースに、私たちは異なる撮影環境でも一貫したパフォーマンスを発揮できるよう定量的な基準に基づいて検証を行い、クリエイティブな意図と技術的な品質が高いレベルで一致するまで繰り返しテストと改良を重ねました。

▲U5K Imageworks CEO Taesik Eom氏
Q. 開発中にどのような課題に直面しましたか?
Kim:多様な環境下での性能を検証するため、大規模なデータセットが必要でした。そのため、自然光や室内照明、昼夜といった実際の撮影環境下でテストを重ねました。またチームの密接な連携も、カラー表現の細かなニュアンスを再現する上で重要なポイントとなりました。
Baek:異なる環境下でも一貫性があり、自然なカラーを維持するのは大きな課題でした。継続的なテストを重ねることで、ユーザーの感覚的な好みと客観的な画質を高いレベルで両立するLUTを実現しました。
Q. スマートフォン向けに最適化された映像表現を開発する上で、最も重視した点は何ですか?
Eom氏:実際の撮影環境で安定して機能することを最も重視しました。実際の撮影では、ライティングや露出、ホワイトバランスが常に変化するため、どのようなシーンでも自然に見えるカラー表現を目指しました。
Kim:私たちにとって最優先事項は“画質”でした。各フレームを細かく分析し、カラーチャートやグレーバランス、ベクトルスコープなどのツールを用いて性能検証を行いました。
Q. 「Samsung Galaxy S26シリーズ」で、4つのスタイルが選ばれた理由は何ですか?
Baek:私たちは人気映画ジャンルに共通する映像表現を分析し、代表的な4つのスタイルを導き出しました。高コントラストな「Blockbuster」、みずみずしい「Coming-of-age」、温かみのある「Romance」、そしてムーディーな「Thriller」です。それぞれのカラーパレットによって、日常のシーンでも瞬時に映画のような映像表現を楽しめる設計にしています。
Q. Cine LUTの各スタイルは、どのようなシーンにおすすめですか?
Eom氏:シーンによって最適なスタイルは異なります。例えば「Blockbuster」は、屋外や都市風景などコントラストの強い環境に適しています。「Coming-of-age」は、カフェやVlogのような柔らかくトレンド感のあるシーンにぴったりです。「Romance」は人物中心の映像に温かみを加え、「Thriller」はより印象的でドラマチックな雰囲気を演出します。
Q. ユーザーの反応で、特に印象的だったことは何ですか?
Baek:当初は単なる動画エフェクトのひとつとして捉えられてしまうのではないか懸念していましたが、実際には、予想を大きく上回る反響がありました。ユーザーには、Log動画とCine LUTを組み合わせることにより、一般的なフィルター以上に幅広い映像表現が可能になると実感していただけました。
また、シーンごとにスタイルを使い分けるユーザーも増えており、数多くの高品質な映像がSNS上でシェアされ、新しいコンテンツ制作スタイルの着想にもつながっています。
Q. 今後の展望について教えてください。
Baek:私たちは、「Samsung Galaxy S26シリーズ」をさらに“プロレベルのカメラ”として確立していきたいと考えています。クリエイターだけでなく、視聴者の心にも響くコンテンツが今後さらに増えていくことを期待しています。そしてSamsungは、これからも動画制作の新しい基準を提供し続けていきます。
Kim:世界が急速に変化する中で、私たちは次世代技術をいち早く見極めることを目標としています。今後も各事業部門との密接な連携を通じて、それらの技術を製品へ落とし込み、世界中のユーザーに革新的な体験を届けていきたいと考えています。

▲ Baek、Eom氏、Kimが、Cine LUTが適用された動画を視聴する様子
社内外の専門チームとの連携によって生まれた「Samsung Galaxy S26シリーズ」のCine LUTは、日常の瞬間を映画のような映像表現へと変える機能です。その技術的な進化にとどまらず、これまでプロレベルの技術を持った人だけのものだった動画制作のハードルを下げ、誰もが自由に自己表現できる時代への大きな一歩となっています。
CMやドキュメンタリーを手掛ける映像監督のHeesub Han氏が、APVコーデックとLogを活用し、「Samsung Galaxy S26 Ultra」でいくつかのショートフィルムを制作しました。ぜひ以下のメイキング映像やショートフィルムを通じて、Cine LUTがもたらす新たな映像表現の可能性をご体感ください。
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